指数・対数関数(Ⅱ)
まず,指数関数ですが,累乗根の拡張から入っていきます。皆さんご存じの平方根だけでなく,3乗根,4乗根。そしてマイナス乗,分数乗と指数のあり方を拡張していきます。なお,累乗根の処理は,分数指数で行う方がラク(FAQ)です。最後には実数全体で定義できる指数関数を学習します。ここでのポイントは,指数方程式・不等式における,置き換えのタイミングというか判断です。式の形を見て,指数同士の積・商なら,a^x=a^y <=> x=y とできますが,指数同士の和・差が入った場合は,t=a^x などと置き換え,という風に,対応を変えることができるかどうか,になります。
次の対数の意義を一言で言うと,「掛け算を足し算にしてラクに計算する」ことです。前回の宿題は,「10^5×10^6=10^(5+6)=10^11=一千億」と,指数の足し算にしてしまえば,ラクでしたね。だから,この指数部分を取り出してラクに計算しよう,というのが対数の基本的アイデアです。
対数には,意外と身の回りに使用例があります。有名な例としては,地震のマグニチュードにも対数が使われています。豆知識ですが,マグニチュードが 1 上がると,地震のエネルギー量は,約32倍になります。(正確には10√10倍)だから,マグニチュード9.0という東日本大震災の地震は,比較的よくあるマグニチュード7.0の地震1000回分のエネルギーが1分ほどで一気に開放されたことになります。あの大津波も,それが原因の一つだったのです。
真数条件をまずチェックすること,底変換公式に慣れること,そしてやはり置き換えのタイミングをマスターしましょう。置き換えるかどうかは,「対数の1次式ならまとめる,対数の2次式とか,商があったら置き換える」という対応です。また,常用対数による高い累乗数の桁数判定も頻出問題です。例えば,3の200乗は,何桁か,という問題ですね。これは慣れると暗算で出てしまいます。対数を使うとこんな魔法のようなことがいろいろできます。さらに,この対数関数は,おもに大学教養レベルから習う「微分方程式」を解く際には,必須の関数となります。そういう意味でも,とても重要なのです。とにかく計算が独特なので,反復練習で慣れましょうね。
ではまた次回。
Nasuno Kumao