医学部への数学,医学部受験数学で困っている人へ

 私は以前,プロの家庭教師としておもに医学部数学ですね,お医者さんになりたい人の大学入試数学を教えていたことがあります。プロの家庭教師って仕事があるんですね,と話した人にはそういう顔をされることがよくあります。たぶんどうやったらなれるのか,が見えないからでもあるでしょうね。プロの家庭教師になるには,まずはそういう仕事をマッチングしてくれる専門の業者に登録する必要があります。よくA新聞の広告欄に出ています。で,某業者に私が登録に行った際言われたのが,担当者曰く,「この業界で一番ニーズがあるのが中学受験の国語,そして算数。3番目が医学部数学です」とまあ,ハッキリ言われました。そんなにニーズがあるのか,と当時驚きましたが,実際に担当してみると,開業医さんなどにはそれなりの「身内に継がせたい」という強い動機があるようです。ただ,だいたい正直に言って「文系頭」の生徒さんが多くて,個別指導塾のスタッフもそれをよくボヤいていましたね。

 さて,前置きはそれぐらいにして,本当は私のブログを順に読んで欲しいのですが,皆さん忙しいでしょうから,今日は久しぶりの投稿ということで,簡単に要点だけ書き残しておきます。

 まず,受験数学の対策の基本は「レベルに合った問題集を3回繰り返すこと」,「シャーペンを持って毎日解くこと」です。まずそれを知って下さい。そして解くべき問題集は,国公立医学部なら,まず入試基礎問題集として『チェックアンドリピート』(Z会)のⅠA,ⅡB,Ⅲ(2024年度受験生からはⅢC)を3回ずつ解いていくことです。やり方は,まず『チェックアンドリピートⅠA』(旧課程か新課程か注意すること)を買って,とにかく1回,最初から最後まで解き通すこと。そして次はⅡBではなく,ⅠAの2回目に入って下さい。これはよく質問されます。「ⅠAが1回終わったんですけど…次はⅡBですか?」とね。これはマズイ選択です。なぜか。受験勉強の醍醐味っていうのは,実は「2回目」なんですよ。2回目はね,「手間は半分,収穫は2倍」みたいな感じがしてきて,すごく楽しくなってくるんです。だから,1回目は砂を噛むような時間が続きますが,2回目は楽しいんだ,ということを信じてやり切って下さい。これはやった人しか分からない境地です。

 そして次は入試標準レベルのマスターです。入試数学で合格レベルに達するには,「典型的な標準レベルの問題がスラスラ解ける」状態を作ることが,必要条件です。(そうじゃないとイケナイ,ということで,これで十分条件という訳ではないことに注意。この必要条件と十分条件の言葉の使い分けが分からない人は数Ⅰの集合と論理の辺りを至急やり直すこと。例題だけでも良いので。)そのためにオススメなのは『やさしい理系数学』(河合)です。ちっとも易しくないのですが…。まあこれは同シリーズに『ハイレベル理系数学』があるためです。この『やさ理』を3回繰り返せば,後はほとんどの大学なら過去問演習で行けるはずです。

 まあ医学部狙うような人なら,こんな勘違いはしないでしょうが,ただ3回繰り返すだけではダメで,「次に似た問題が出たらどうするのか」を一つひとつまとめていくことがとても大事です。苦手だった人は「3回」という言葉だけ頭に残って,表面的にこなすのですが,そもそも数学の演習という勉強の目的は,まさしく「次にこのタイプと出会ったら自分はどうするのか」を学ぶためで,そういった「原則」というか「鉄則」を一つひとつ学習して,自分のものにしていくことです。

 後,私立大医学部は特にそうですが,医学部受験数学は,とにかく「スピード」です。「正確かつ速く」が大事です。両立しないじゃないか,と思うでしょうが,これはまず「正確に丁寧に」解くこと。なぜそうするか,を理解していくこと。その後,正確な理解の下で反復するとスピードが出ます。だから,これは仕事でもそうですが,「正確」から「反復」を経て「速く」が正しい。

 ということで,今日は概略を述べました。質問があればコメントにてどうぞ。時間が許す限り,新投稿などでお答えするつもりです。ではまた。

Nasuno Kumao

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