複素数と高次方程式(Ⅱ)

 まず,何のために複素数はあるのか,という「数の拡張の意義」について理解しましょう。簡単に言えば,いろんな高次方程式が解を持つように,数の概念を自然数から拡げていった歴史があります。意味なくやっていることではないので,なぜそんなに拡げるのか,を理解してみて下さい。実を言うと,「複素数係数の n 次方程式は,複素数の中で必ず解けて,解の個数は重複もこめるとちょうど n 個である」(代数学の基本定理)ことが知られています。その意味で,高次方程式を解くためには,最大,複素数全体まで拡げればOKで,これ以上拡げなくて良いのですね。

 次に出てくる,「解と係数の関係」も非常に重要な受験数学の知識となります。さらには,多項式の割り算から出てくる,剰余の定理とその系である「因数定理」は,3次方程式や4次方程式を解く基本的道具ですから,なぜそうなるか,とどこで使うか,をしっかり覚えて使いこなしましょう。なお,「実数係数の高次方程式が虚数解を持てば,その共役複素数も解になる」は頻出ポイントです。1次式で割る時限定ですが便利な,組立除法もぜひ覚えましょう。

ではまた次回。

Nasuno Kumao

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