第11条の2 採点の実態についての「噂」(だがかなりホントっぽい)

 私の話の「落としどころ」というか,判断基準ですね,「先生,○○はどうしたらいいんですか?」という受験数学に関する質問が生徒から来ます。その時に頭に思い浮かべるのは,いつも「この子が大学入試の採点現場ではどう評価されるのか」を考えて,自分の見識も加えて答えています。いわゆる「ゴールから考える」視点とも言えます。
 特に,第11条「答案は採点官への手紙と考えよ」に関係しますが,実際にどう採点されているか,について,いろいろ関連本を読んだり,自分でも記述式の数学の答案を採点してみて,以下の話はかなりホントだろうと思っています。これに基づいたアドバイスもしています。
 採点は,出題が多い「求値問題」なら,まず最終的な答え,数値を見ます。(答えには見やすくアンダーラインしましょう。)
 答えが合っていたら一旦「○」をして満点を付けて,それで答案の最初からチェックします。誤字脱字がないかどうか。(これもバカにできません。後述) 途中で変なロジックになっていないかどうか,ロジックに「ギャップ」がないか。 自明でない事実を使っていないか。 使っている公式は少なくとも教科書に載っているものか。 つまり,答えが合っていれば後は「減点法」になります。こうした頭の動きが,採点側には起こります。
 最終的答えの数値が間違っていた場合は,一旦「×」で零点にします。そして,答案の最初からチェックしていって,どこまで考えることができたのか,途中までの受験生の思考経路を見ていきます。 方向性が正しかったり,出題者側が見たいポイントがクリアできていれば,部分点を足していきます。 つまり,誤答なら「加点法」に切り替わります。 ここで「~とおくと」とか,問題文の条件を式に「翻訳」してあるだけでも,1点や2点は稼げるかもしれませんよ。このあたりは模試で試しておくべきでしょうね。
 一方,証明問題は答えが予め分かっている問題ですから,仮定から結論までつなぐだけではあります。だから,採点は大変ですけど,ロジックを順に追って行きます。もちろん誤字脱字もチェックポイントですね。
 だから,対策としては次の通りになると思います。
 ○白紙は避ける。何かしら考えたことを答案に表現していこう,とすること。
 ○多少のロジックの「ギャップ」や,使った公式等の自明性(証明しないで使っていいかどうか)に不安があっても,とにもかくにも最終的な答えを出そうとすること。多少の減点は覚悟ですが,零点よりはずっとマシです。これも取れる力の一つでもあるでしょうね。
 ○日頃から誤字脱字には注意し,した段階ですぐ修正をかけること。また,そもそも読みやすいかどうか,にも注意すること。男子に多いのですが,とにかく字が汚い人は不利ですよ。

 非常に細かく見えるかもしれませんが,しかし,東大入試の結果を見ていると,合格最低点に2点不足で不合格,っていう例は「ザラ」にあるそうですよ。私も狭い経験ですが,何人かそういう人を実際に見てきました。また最低点の2点上で合格した子も知っています。だから,誤字脱字は,絶対になくして下さい。こんなことで落ちたらイヤでしょ?
 参考になれば幸いです。

 ではまた次回。

Nasuno Kumao

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