第6条 必ず解ける一題から手を着けて落ち着け
これは第4条で言った「取れる」のコツの一つです。とても大切なコツなので,基礎編に入れました。模試の冒頭でよくある「小問集合」は違いますが,国公立2次の入試や私立の記述入試,難しい記述模試では,全部長い文章で出題されます。マーク式試験も含めて,テストの時は,開始の合図があったら,いきなり1番から手を着けるのではなく,まず問題全てを数分かけてチェックしましょう。そこで「あ,これは何か見たことある」,「これは行けそう」という問題から手を着けて,しっかり最後まで解くようにしましょう。これに成功したら,だいぶ落ち着いてきて,次の問題に進むことができるはずです。
逆によくあるのが,本番であがってしまい,テストが終わった後,落ち着いて問題を見ると,解法が次から次へと湧いてくる,何で本番で気が付かなかったんだろう,と悔しい思いをすることです。心あたりのある人も多いでしょう。数学のテストっていうのは,ここが怖いところで,8割取れる人でも,あがると半分も取れないことがあり得るのです。
今はどうか知りませんが,昔からよく聞くのが,○台模試でいつも上位に名前が載っていた受験生が,なぜか東大の本番で落ちてしまうことがあるそうです。なぜだか分かりますか?推測するに,それは,なまじ自信があるので,難易度を考えずに(知ってか知らずか結果的に)一番目か二番目に難しい問題から手を着けてしまうのでしょう。それで頭が白くなって,実力を出せないまま終わるのでしょうね。大学入試は選抜試験ですから,満点は取れないように作ってあります。そのため「解けるか,こんなの」という問題が一問や二問は混じっていることが多いのです。だから,慌てないで,まず絶対取れそうな問題から解きましょう。
昔の教え子で私立医学部志望の生徒が,20倍の高倍率を突破して合格した時,「私の指導で,何が一番良かった?」と聞いたら,「取れる問題から解け,が一番良かったです。」との答えでした。この子は浪人生で,運動部出身だったせいか,とても真面目な生徒でした。それで必ず1番から解いていたそうですが,それが裏目に出ていたのですね。こんなこともあるのか,と驚きましたけども,超難関の医学部入試で英語と理科はよくできていたので,数学がネックだったようでした。本当にちょっと真面目過ぎたのでしょう,私の指導で柔軟に解くようになって,ちゃんと結果が出るようになりました。こんな一言で道が開けるんだ,本当に良かったなあ,と思ったものでした。
では,第7条への宿題です。「自分をごまかさない勉強の第一歩」とは何でしょうか。
では,また次回。
Nasuno Kumao