第3条 選び抜いた本を3回繰り返せ

 私は受験勉強の最も核になる言葉が「3回繰り返せ」だと思います。今回紹介する「数学を得意にするコツ」には割と多くの条文が出てきますが,これらの核になったのは,実はこの「3回繰り返せ」でした。私の指導方針の中心軸は何にしようかな…と思案して,すぐ思いついたのがこの言葉だったのです。
 一方で受験生によくある失敗が,いろんな参考書・問題集に目移りして,結局ロクに身につかなかった,というパターンで,私はこれを「バタフライ現象」と呼んで,受験の禁じ手として絶対しないように注意しています。
 そして「3回繰り返す教材」のことを私は「核教材」と呼びます。受験勉強の具体的姿,というのは,数学に限らず,自分にとって「はかどる本」である核教材を自分で選んで,それを繰り返しやりこむ,ということだと思います。(ただし一部例外の科目はあるようですから,詳しくはお近くの先生に聞いて下さい。)そして受験勉強の醍醐味というのは,1回やり通した後の,2回目,3回目にあります。これはやった人にしか分かりませんが,2回目は断然楽しくなるはずです。
 なお,私は核教材について受験数学向けとしては,入試向けの問題集を基本的に薦めています。参考書やいわゆる「傍用問題集」は問題量が多すぎて,挫折しがちだからです。どうしても気に入ったとか,学校で買わされたけど結構良かった,という理由で「チャート式」などの参考書を核教材にするときは,例題だけマスターするようにして,やるべき問題数を絞って下さい。
 また,注意点があって,「3回繰り返せばいいんだ」と単純に形式だけやって,時間を無駄にする人が稀にいますが,これは後日の条文でも触れますけども,しっかり考えながら解き進めることが大切です。「このタイプの問題は結局どうすれば良いのか」と考えて下さいね。
 なお稀に優秀すぎて「吹きこぼれる人」がいて,3回繰り返すのは飽きる,という人がいますが,そういう人はまあ1回半とかでも仕方ないですね。結果が出るなら良しとしましょう。ただ私の狭い経験から,この吹きこぼれる人は,東大理系の2次数学120点満点で110点を超えたとか,東工大の2次数学200点満点で,200点取ったとか,そういう生徒たちでした。まあそりゃ飽きるわねえ,と思いましたけれども…。
 今回は「核教材」というキーワードがお伝えできればOKだと思います。さらに具体的な話,ノートの取り方とか,どの本(問題集がメインです)が良いのか,といった話は後日いたします。

 以上,3カ条が「入門編」となります。これから条文が多く追加されますが,全部やらないといけないわけではありません。理解できたものから順に実践してもらえば,きっと数学が楽しくなってくると思います。また,数学が苦手でしょうがない人は,まずこの最初の3カ条だけで良いので実践してみて下さい。これだけでも結構,効果があると思います。

 次回から数回は「応急処置編」として,皆さんの立場に応じたお話を,入門編に続く「基礎編」と混ぜながら投稿していきたいと思います。ノートの取り方,現役生の皆さんへのアドバイスなどから始めてみます。現役生にとっての核教材は何か,などという話のつもりです。お楽しみに。
 「基礎編」第4条への宿題は,「数学で点が取れない時のチェックポイントとは」です。数分,考えてみて下さい。
 ではまた次回。

Nasuno Kumao

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