第22条 難問対策(2) 具体化せよ。実験せよ。

 これも難問遭遇時の基本動作中の基本ですね。例えば,確率の問題や,数列の問題,あるいは自然数・整数に関する証明問題で,どうにも題意が取りにくい時があります。そういう時にまずやるべきことは,n なら n に,順に n=1, 2, 3, … と代入していって,何がどうなるか,何か規則性はないかどうか,と具体的に値を代入していって,何かキッカケをつかむことです。まあこれを「実験」と呼んでもいいですね。
 一つ例をあげると,
 Q. 自然数 n に対して,n^5 と n の一の位がいつも同じであることを示せ
と言われたとき,すぐに思いつかなかったら,n^5 に n=1, 2, 3, …を順に入れてみましょう。すると,1^5=5, 2^5=32, 3^5=243, 4^5=2^10=1024, …となっていて,確かに成り立っていますね。この並びをヒントに,何かしら一般化へのキッカケをつかめるように,頭を巡らしていきます。この場合は…,二項定理,合同式,f(n)=n^5-nが10の倍数,…と,使えそうな道具をリストアップしていきますね。こんな感じです。
 実は具体化はとても大事な観点で,数学全体でも役に立ちます。元々数学の理論は,何か具体的な話の中で浮かんできた理屈,なので,高校数学の教科書で何か難しそうな定理などを習ったら,必ずその具体例を自分で作ってみましょう。これも数学の攻略法の一つなのです。

 ではまた次回。

Nasuno Kumao

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