第12条 式の特徴に着目し,計算量を減らせ
パッと書いてみましたけれども,これも本当に受験数学の最大のコツの1つですね。例えば,
(x+1)(x+2)(x+3)(x+4)-8 を因数分解せよ。
という問題があります。これは数Ⅰの問題でして,まだこのタイプの4次式を因数分解する方法は学んでいません。だから,単純に第1項を全て展開してしまっては,解けないことになります。そこでどうするかですが,第1項の掛ける順番を変えて,
(x+1)(x+4)=x^2+5x+4 と, (x+2)(x+3)=x^2+5x+6 の2つずつをそれぞれ展開します。(x^2はxの2乗です)すると,ともに x^2+5x という式が出てきますから,これに第5条を適用してA=x^2+5x とおくと,
(与式)=(x+1)(x+4)(x+2)(x+3)-8=(x^2+5x+4)(x^2+5x+6)-8
=(A+4)(A+6)-8=A^2+10A+16
=(A+2)(A+8)=(x^2+5x+2)(x^2+5x+8) …(答)
と解くことができます。(場合によっては,この2つの2次式をさらに因数分解する問題もありますから注意しましょうね。今回は,ないようです。)
こうした式の特徴を見抜いていく,ということは,高校数学に触れている時には,常に念頭に置くべき重要な事です。これが模試とか定期テストで実践できて,上手くいくと,とても楽しいですよ。
先日,ある動画で「理系なら 3秒! 401×399=?」というのを見かけましたけども,「ああ, (a+b)×(a-b)=a^2-b^2 だなあ」と気づきました。401×399=400^2-1^2 ですね。
「式の特徴に着目」がまだ分かってない人は,まずは数Ⅰの因数分解で,これを実践してみると良いと思います。
第13条への宿題です。数学が苦手な人に,「集中の原則」を当てはめて指導したらどうなるでしょうか。
ではまた次回。
Nasuno Kumao