第19条 数学の受験勉強は,前半が「暗記」,後半は試行

 ずっと以前,『数学は暗記』という新書が出て,賛否両論を巻き起こしたことがありました。今でも影響のある人が書いたものですけども,私も指導者の端くれとしてそれなりの経験を積むと,まあ半分は当たっているけどこれも極論だな,と感じます。やはり真実は「中ほど」にあるようですね。つまり,受験数学に限らず,数学の問題を解くには,まず解くための知識や解法を「手を動かして」覚えていく必要がどうしてもあります。定期試験だと,これだけでもかなり改善すると思います。ただ,大学入試本番レベル(入試標準レベル~過去問レベル)の問題は,気づくべき,あるいは連想すべきポイントがだいたい3つから5つはあります。こういう複数のポイントを想起して連動して使う,というのは,やはりその試行の練習が必要だと思います。
 料理に例えて言うと,前半では料理道具を覚える段階から始まりますね。これは菜箸,これは計量スプーン。これが包丁,これはピーラー,みたいな感じで道具の名前と使い方をまず知る必要がありますよね。数学では,これはだいたい「例題3種」から次の「入試基礎レベル」のあたりの話で,これが「前半は暗記」ですね。そして,そういう基礎がある程度固まったら,入試標準レベルの問題に手を着けます。これはだいたい試行が多くなるはずです。私の見解は,前半が「暗記」,後半は試行,です。

 第20条への宿題です。結局,受験数学の勉強は,どういう状態を目指せば良いのでしょうか。その目安は何かあるのでしょうか。

 ではまた次回。

Nasuno Kumao

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