第18条 証明問題のコツは「迷路問題」を参考に
苦手な人が多い証明問題ですけども,これはいつもの「値を求めよ。」とかいう問題とは,まるでアプローチが違うので,改めてここでやり方を示してみたいと思います。これが証明問題の万能薬とは言いませんが,かなり手を着けやすくなると思いますので,ぜひ使ってみて下さい。私が特に中学生が図形の証明問題に悩んでいるときには,以下のように言います。
(1) まずゴール(結論)をはっきりさせる。何を示せば良いのか,問題文のその部分に,波線でアンダーラインする。
(2) 次にスタート(仮定)をはっきりさせる。何が使えるのか,問題文のその部分を,直線でアンダーラインする。
(3) ここが大事なところで,ゴールの一歩手前とは何か,を考える。何が言えたらゴールなのか,その一つ手前を考えてみて下さい。
(4) さらには第1条「手を動かせ」の応用として,使えそうなこと,定理,公式,性質などをどんどん書き出していきます。この(4)は大事なので,後日,単独で条文にします。
こうしてみると,(1)から(3)の流れは,ちょうど迷路の問題を解くのに感覚が似ています。迷路はスタートとゴールがあって,スタートから行けるところまで線を書きますけども,だいたい途中で分からなくなります。その時によく使うのが,ゴールから逆にスタートに向かって線を引いて,だんだんと開いている距離を縮めていきますね。私はこの感覚が,証明問題に似ているなあ,と感じることが多いです。
英語版にも入れましたから,ここにも例題を書いておきますね。
問. △ABCの外心と重心が一致するとき,この三角形は正三角形になることを証明せよ。
この問題文を見た時,まずするべきは,アンダーラインです。まず示すべき結論の「正三角形」に波線でアンダーラインしましょう。これがゴールです。次に,「外心と重心が一致」が仮定ですから,ここは直線でアンダーラインしましょう。で,問題は,「ゴールの一歩手前は何だろう?」と考えることです。ちょっと考えてみて下さい・・・。
これは少し難しいのですが,仮定から「△ABCが二等辺三角形になる」ことを示せば良いのです。辺ABを底辺にしてこれを証明すると,BC=CA を得ます。(詳細は省きます。やってみて下さいね。類題をよく見かけますから。) 同様にして,辺BCを底辺にして二等辺三角形,を証明すると,CA=AB を得ます。以上より,AB=BC=CA となり,正三角形であることが言えました。
繰り返しになりますけれども,特に中学の図形の証明は,ゴール一歩手前を考えるのが良いキッカケになると思いますから,ぜひ試してみて下さい。
第19条への宿題です。「数学は暗記」は正しいのでしょうか。
ではまた次回。
Nasuno Kumao