第17条 頭が白くなってもできるのが実力

 まあ,これもある意味「自分の理解をごまかすな」ということでもあるし,繰り返し言っているように,数学の試験本番は「異常心理」になるので,その対策もある程度しておかないといけないかな,と思います。そのためには第6条の「解ける問題から手を着けよう」があります。しかし,日頃の心がけとしては,解法が複数ある場合,うまく立ち回れなくても,原始的な解法を覚えておくといったことが大事で,これで自分が救われることがよくあります。例えば,数Ⅱの等式の証明で,条件式が付いている場合のもので,以下のようなものがあります。
 Q. a+b+c=0 のとき,a^3+b^3+c^3=3abc であることを示せ。
という問題です(a^3は aの3乗です)。これは原始的というか基本的というか,まず覚えないといけない解法は,
「条件式があったら 1文字消去」
というもので,この場合は c=-(a+b) として,左辺と右辺にそれぞれ代入して c を消し,それぞれ同じ式になる,という証明方法です。
 もちろん,上手い解法もあって,この場合は,
  (左辺)-(右辺)=a^3+b^3+c^3-3abc
        =(a+b+c)(a^2+b^2+c^2-ab-bc-ca)
という準公式とも言うべき有名な因数分解を用いれば,これが条件式から =0 となることがすぐ分かりますから,結局,この等式は成立することが分かります。
 私が言っている「頭が白くなってもできる力」っていうのは,この前者みたいな解法を覚えておきましょうね,ということです。もちろん,いろいろな別解を考えることが実力UPには有効,という意味もあると思います。

 第18条への宿題です。ズバリ,証明問題のコツとは何だと思いますか。数分考えてみて下さいね。

 ではまた次回。

Nasuno Kumao

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