第16条 数学は人工言語である。言葉の定義を大切にせよ

 英語や国語,社会という教科は,いわば自然言語で構成されたものだと思いますが,数学は人工言語という感じがします。これは私ではなくて,ある現代文の指導で有名な先生の言葉ですけども,言い得て妙なので,私もそう思うことにしました。またある受験関連のマンガでは「数学とはゲームだ」と言っていましたけども,似たようなことを指していると思います。
 つまり,数学の問題を解くというのは,数学の約束事,ルールの枠内で思考し,答えを出していくゲームのようなものだ,ということですね。確かにそういうところはあって,日々解いているとこれを実感する場面が多くあります。
 宿題でも出しましたが,「無理数」の定義の一つは「有理数でない実数」です。他には「循環しない無限小数」というのもありますが,通常は「有理数でない」を使います。そしてよく出る問題のタイプに,「~が無理数であることを証明せよ。」があります。この証明にはなぜか背理法が多用されます。(その理由をぜひ一度考えてみて下さい。)
 つまり,無理数であることの証明は,その結論を否定して,有理数だと仮定すると,何か矛盾が出る。数学の世界では,ここがまさしく人工言語らしいところですけども,「○か×か」どっちかしかない事柄(=命題と呼びます)しか扱いません。結論を否定したら矛盾したので,この結論は正しい,というのが背理法のロジックです。間接証明法の一つで,数学ではとても重要な手法です。
 また,今回の無理数の証明の基盤は,言葉の定義でした。このように,数学を考える時に,躓いたら,「そもそもこれの定義って何やったっけ?」と教科書に戻って確認することが,とても大事です。そういう意味で,受験期には,教科書を机か近くの本棚に揃えておきましょうね。これが辞書代わりになりますから。なお,大学で文系に進む人でも,学問をやるときは,専門用語の定義を具体例と共にしっかり覚えることが,かなり大事だと思いますよ。そういう意味でも,文系の難関大では数学が課されるのかもしれませんね。

 第17条への宿題です。着実に点を取るための心がけは何でしょうか。

ではまた次回。

Nasuno Kumao

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